読書マラソン - コラムバックナンバー

2011summer(7/30~8/31) コラム

コラム No.9

2011年3月11日、立川の事務所であの大地震に遭った。幸い事務所での大きな被害やけが人もなく、最初の揺れのあとすぐに私は近くにあるビルの上階の店舗に、倒れた棚や本の片付けのため向かった。
いつもとは明らかに様子が違っていたが、それでも思ったよりも落ち着いている街や店内の様子に少しほっとして、スタッフと一緒に崩れた本を戻し始めた時、小さく叫び声が上がった。再び揺れが始まったのだ。
ビルは大きく横に揺れ、棚に戻した本もまた崩れ、崩れたままのところはさらに崩れ……そんな状態で動くこともできずにいた。すでにビル内のお客様は避難していたが、スタッフにも全員退避の指示が出され何もできないまま店を出ることになった。

店を出るとき、薄暗くところどころ本の崩れた店内を見回して、不安になった。最初の長く大きな揺れのなかで、さまざまないやな予感が頭をよぎったが、その後も続くおさまる気配がない余震。これからしばらく多くの人の〈本を読もう〉という意欲が薄れてしまうのではないか、と。

しかし、私の心配は幸いにも裏切られた。電気が止まり、ネットも使えない時に気を紛らわすためという人も多かったのかもしれないが、地震後も店に客足が途絶えることはなかった。あの大地震の脅威の中で、これだけの人が本を読もう、知識を得ようとしている。これが本の力なのか、それにしても、日本人ってなかなか冷静でたくましい。そう思ったら力が湧いてきた。

私も、あの大地震をきっかけに、もっと本を読まなくては!という気持ちが強くなった。時間は限られているのだから。

コラム No.9 2011.07.30

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